連載609.小説『山を仰ぐ』第8章発明家ー②開産社と博覧会ー43

連載609。小説『山を仰ぐ』第8章・発明家-②開産社と博覧会ー43
 (正彦と辰致は「連綿社条約」の草案を作りました)

  第九条。 もし、社員に問題があればその社員を退社させ、その問題の程度により、その後の利益の分割はもちろん、出資した利益の分割配分はない。
 しかし、問題が軽微な場合は、社員が協議し、良く調査した上で、それ相当の処理を行うこと。
 右の条を、衆議を尽くして決定後は、違反してはならない。もし、問題が発生した時は、九条に即して取り計うこと。
 この後の部分に署名捺印をし、銘々がこれを所持すること。
 南第九大区七小区安曇郡烏川村 。当時、南第四大区三小区筑摩郡波多村逗留   臥雲辰致 
 南第四大区三小区筑摩郡波多村       武居美佐雄」  

 正彦さんは、武居美佐雄さんの長男なので、ここでは副頭取の父の名を書きました。辰致さまと正彦さんで相談した内容を、正彦さんが草案にしてくれた時は、署名は臥雲と武居の二人だけでしたが、正彦さんの尽力ですぐに社員で協議され、ほぼこの文面で、波多腰六左さんも、青木橘次郎さんも署名をしてくださいました。
 明治十年九月九日、四名の名が並んだ、『連綿社条約書』が出来上がったのでございます。
 連綿社条約の署名に何故、私の父川澄東佐の名前がないかというと、父はへそを曲げて、最近は連綿社から外れ、博覧会出品の費用も出していなかったからです。
 父は元々、辰致さまを糸の婿に欲しいという下心があって辰致さまを応援していたので、去年の六月に、婿の話をあっさり断られ、憤慨や落胆は大きく、父の言い分は
 「測量の仕事を用意してやったり、うちの土蔵で機械を造らせてやったり、その間の衣食住の世話もしてやったのに、わしの願いをあっさり断った、けしからんやつだ」ということでした。
 正直ではあるけど、ちょっと子供っぽいですね。「婿になれば、援助するぞ」という信号でもあるらしいです。

 (次回、連載610に続きます
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