連載344。小説『山を仰ぐ』第5章ー②ー6 (写真は、グアテマラへ行く若い女性にエールを送る臥雲さん)
2022/09/27
連載344。小説『山を仰ぐ』第5章・栄弥―②俊量が語る青年栄弥―6
(前回は、栄弥が志野を見ていて、糸紡ぎは大変だと思い、糸紡ぎの道具に心が向きます。それで、今日は、ツムや糸車の説明。機械に弱い方は、読まずに飛ばしていただいても、、、、。長いし)
(ツムは)引き出された糸がある程度よじれたら、更に糸を引きだしてよじります。よじれた糸が一尺半(45センチくらい)ほどになったところで、糸をカギ金具から外し、カギと反対側の長い軸棒にくるくると巻き付けるのです。
軸を指で回しながら、糸をより、糸を巻き取ることを交互に繰り返すこのツムは、昔からあるまことに便利な道具で、先祖代々これだけで、麻や綿(めん)から糸を紡いできました。
横山家で糸紡ぎを家業として始めた時、儀十郎さんは師匠の政四郎さんから糸車を使うことを教わりました。ツムと糸車は原理は同じです。ツムの軸を指で廻すのではなく、はずみ車で効率良く回すだけです。
糸車は、ツムと同じ役目の木の軸が、大きなはずみ車と紐で連結されています。はずみ車の取っ手を手で回すと、一回転する間に、糸車の筆ほどの太さの木の軸が数十回転するので、高速で糸を撚ることができるのです。
糸車の木の軸は手紡ぎの時のツムの役目ですが、ツムからコマの円盤がなくなり、木の軸だけになりました。円盤はツムを回すための重りに使われていたから、糸車では必要がないのです。
糸車では、綿塊を手に持ち、少し綿を引き出し、引き出した綿を木の軸に縛ります。木の軸と引き出された糸が一直線になるようにして、はずみ車で木軸を回すと、綿がよじれて糸ができます。後は手紡ぎと同じ要領で、少し綿を引き出してよじる、引き出してよじるの繰り返しです。
ある程度糸が長くなったら今度は、糸と木の軸を直角にして木の軸に糸を巻き取ります。これを繰り返し、長い糸をつくるのでした。
以前のツムでは、短い方の軸の先にはカギ型の金具が付いていましたが、糸車の木の軸は先が丸く滑るようにスベスベの球になっていています。糸は木軸の先端でつるつると滑り、木軸には巻き付かずに撚(よ)ることができました。
紡ぎ手は、綿塊を持った左手を大きく広げ、綿塊から延びる糸と木軸の角度を調節しながら右手ではずみ車をまわし、糸を撚(よ)ります。
次に拡げた手を狭め、糸と木軸とを直角にし、糸を巻き取ります。直角だと、糸が先端の球に触れず、従って滑らず撚(よ)りが止まり、軸の回転に合わせて糸が巻き取られて行くのでした。
ツムも糸車も、糸の撚(よ)りと巻き取りの二段階です。軸を回転させる方法が違うだけでした。
(次回、連載345に続く。
昨日不調だったフラッシュエアは深夜に回復しましたが、こちらのほうが良いわね。写真は、今朝の市民タイムス。グアテマラへ行く若き女性に私もエール!)
(前回は、栄弥が志野を見ていて、糸紡ぎは大変だと思い、糸紡ぎの道具に心が向きます。それで、今日は、ツムや糸車の説明。機械に弱い方は、読まずに飛ばしていただいても、、、、。長いし)
(ツムは)引き出された糸がある程度よじれたら、更に糸を引きだしてよじります。よじれた糸が一尺半(45センチくらい)ほどになったところで、糸をカギ金具から外し、カギと反対側の長い軸棒にくるくると巻き付けるのです。
軸を指で回しながら、糸をより、糸を巻き取ることを交互に繰り返すこのツムは、昔からあるまことに便利な道具で、先祖代々これだけで、麻や綿(めん)から糸を紡いできました。
横山家で糸紡ぎを家業として始めた時、儀十郎さんは師匠の政四郎さんから糸車を使うことを教わりました。ツムと糸車は原理は同じです。ツムの軸を指で廻すのではなく、はずみ車で効率良く回すだけです。
糸車は、ツムと同じ役目の木の軸が、大きなはずみ車と紐で連結されています。はずみ車の取っ手を手で回すと、一回転する間に、糸車の筆ほどの太さの木の軸が数十回転するので、高速で糸を撚ることができるのです。
糸車の木の軸は手紡ぎの時のツムの役目ですが、ツムからコマの円盤がなくなり、木の軸だけになりました。円盤はツムを回すための重りに使われていたから、糸車では必要がないのです。
糸車では、綿塊を手に持ち、少し綿を引き出し、引き出した綿を木の軸に縛ります。木の軸と引き出された糸が一直線になるようにして、はずみ車で木軸を回すと、綿がよじれて糸ができます。後は手紡ぎと同じ要領で、少し綿を引き出してよじる、引き出してよじるの繰り返しです。
ある程度糸が長くなったら今度は、糸と木の軸を直角にして木の軸に糸を巻き取ります。これを繰り返し、長い糸をつくるのでした。
以前のツムでは、短い方の軸の先にはカギ型の金具が付いていましたが、糸車の木の軸は先が丸く滑るようにスベスベの球になっていています。糸は木軸の先端でつるつると滑り、木軸には巻き付かずに撚(よ)ることができました。
紡ぎ手は、綿塊を持った左手を大きく広げ、綿塊から延びる糸と木軸の角度を調節しながら右手ではずみ車をまわし、糸を撚(よ)ります。
次に拡げた手を狭め、糸と木軸とを直角にし、糸を巻き取ります。直角だと、糸が先端の球に触れず、従って滑らず撚(よ)りが止まり、軸の回転に合わせて糸が巻き取られて行くのでした。
ツムも糸車も、糸の撚(よ)りと巻き取りの二段階です。軸を回転させる方法が違うだけでした。
(次回、連載345に続く。
昨日不調だったフラッシュエアは深夜に回復しましたが、こちらのほうが良いわね。写真は、今朝の市民タイムス。グアテマラへ行く若き女性に私もエール!)